アメリカの匂い

Neil Young “Needle And The Damage Done”

ちょっとバタバタしていて、随分と更新が滞ってしまいました。

確か1972年のこと、中学3年の夏くらいだったと思います。当時弾いていたギターは、前にも書いたように、FirstmanのLiverpool Deluxeと言う国産オリジナルデザインのギターです。
ミュージックライフと言う音楽雑誌から音楽に関する情報を得ていた私は、そこに出ている写真を眺めつつ、憧れの海外ミュージシャンが使っている普通の(笑)GibsonやFenderのギターが欲しくて仕方なかったのだ。
けれど、音楽雑誌に出ているGibsonやFenderの広告を見るに付け、中学生如きにおいそれと買えるような代物でない事も分かっています。

分かっていても欲しいと言う気持ちは抑えられるものでもなく、無い知恵を絞っていると、以外にもヒントはそのミュージックライフ誌に転がっていたのでした。


 そこで見つけた記事の片隅には、アメリカではポーンショップ(質屋さんのことですね)に安い値段で掘り出し物のギターが売られている、中にはオールドギター(今で言うヴィンテージギターのこと)も結構あると書かれているではないですか?!

これだ、これしかない! 当時親父は商社勤めをしており、何人もの部下がアメリカに駐在している、中には自分も見知っている人がいる、その中の誰かに買ってもらい日本に送ってもらうように頼めば良いんだ!

中学生の妄想は綿飴の如く膨らみ、周りでは誰も持っていない憧れのGibson・Fenderのオールドギターを弾いている(見せびらかしている 笑)自分を思い浮かべて薄ら笑いを浮かべる始末。

何と言う甘い考えでしょう。甘いよ、本当に甘い!
そう、ギターに詳しい人ならいざ知らず、知識の無い一介の商社マンにポーンショップで掘り出し物のギターなぞ買える訳が無いのです。
でも当時の私の頭の中はその甘い考えで埋め尽くされ、また親父も良く分かりませんから、そんなものかと部下に頼んでくれました。

もうワクワクです。天にも昇る気持ちでした。1ヶ月か2ヵ月後には自分も憧れのミュージシャンと同じギターを手にするんだと毎日にように何か届いていないか両親に尋ねるほど。
そして2ヵ月後、ギターでは無く、レコードが2枚入っている包みが手紙と共に届きました・・・

中学生、気分は一気にショボボボボーン・・・・・ (´・ω・`)

手紙には、謝意と共にどういうギターを買えば良いのか皆目検討がつかないこと、レコード屋で当時ヒットしていると言う2作品を代わりに送る旨記されていました。
今考えればとてつもなく無理なお願いをしたものです。

何にせよ、せっかく送ってくれたレコードを確認しようと密封された薄い段ボール箱を開けます。その時、フワッと、今まで嗅いだ事のない、乾いた何とも言えない匂いが立ち昇ったように感じました。
この匂いは、アメリカからの輸入盤のビニールを破って開けた時に、もっと軽い感じで以後何度も嗅ぐことになりますが、この時ほど鮮烈に嗅いだことはありませんでした。

紙の匂いとかじゃねーの?等と言わないで欲しい、これは自分の中でしっかりとアメリカの匂いとして記憶されていったのです。

さて、中に入っていたレコードだが、George HarrisonのThe Concert For Bangla DeshとNeil YoungのHarvestでした。
そして、中学生は再びショボボボボーンとなってしまいました。Georgeはまだしも何故Neil?


当時Neil Youngの名前は知っていても、Crosby, Stills, Nash & Young(CSN&Y)の一員で位の認識しかなく、カテゴリもフォークだろうと高をくくっていた。
そう言う思いしか無かったので、当初はBangla Deshの方ばかり聴いていました。
しかし、暫くすると、勿体無ぇなという気持ちが現れ、結局レコードが送られて来てから1ヶ月以上経ってから、漸くHarvestに針を落とすことに。

正直言って、最初はピンと来ませんでした。当時ロックに対して自分が持っていたイメージと大きくかけ離れているように思ったからです。
が、聴き続けている内に、それまで聴いていた音楽と大きく異なった音空間に響くNeilの歌声、メロディーに惹き付けられて行く自分がいました。

Neil Young “The Harvest”

A1. Out On The Weekend
A2. Harvest
A3. A Man Needs A Maid
A4. Heart Of Gold
A5. Are You Ready For The Country

B1. Old Man
B2. There’s A World
B3. Alabama
B4. The Needle And The Damage Done
B5. Words

最初はヒットした “Heart Of Gold” が好きでしたが、だんだんB面最後の3曲、Alabama ~ Wordsへの大きなうねりのような流れが好きになって行きました。

このアルバムから1曲と尋ねられたら、今は躊躇無くB面4曲目の “The Needle And The Damage Done” を挙げるでしょう。
アコースティックギター1本で静かに歌い上げられる小品、最後に割れんばかりの拍手があり、続いて被さるように始まる “Words” 。
本当のライブなのか?と思われる鮮烈な録音だと思います。

“Needle And The Damage Done”

I caught you knockin’
at my cellar door
I love you, baby,
can I have some more
Ooh, ooh, the damage done.

I hit the city and
I lost my band
I watched the needle
take another man
Gone, gone, the damage done.

I sing the song
because I love the man
I know that some
of you don’t understand
Milk-blood
to keep from running out.

I’ve seen the needle
and the damage done
A little part of it in everyone
But every junkie’s
like a settin’ sun.

地下室のドアを叩く君に気付いたよ
愛している、ベイビー、
だから、もうちょっと貰えないかな
あぁ、もうぐったりだ

街を目指して自分のバンドを失っちまった
他の奴が打ってる針を見ていたよ
行っちまった、手遅れだ

奴の事が大好きだから歌を唄ってるんだ
みんなが分かってくれるなんて思っちゃいないよ
全てを繋ぎ止めとくための白い血さ

針も手遅れになった奴も見て来たよ
誰もの中の一握りだ
だけど、ヤク中はみんな沈み行く太陽みたいだよ
( 6/10 和訳追記 )

当時は何を唄っているのか、さっぱり分かりません。Needle?針?何で?
今読み返せば、針が注射針の事を言っているのは直ぐに分かります。が、切ない、辛い歌詞ですね。

この歌については、Wikipediaに詳しいです。ここの説明によると、この歌は彼のバンドCrazy HorseのギタリストだったDanny Whittenのヘロイン中毒を憂いて書かれたものだとか。
Danny Whittenはこの曲が発表された数ヵ月後、1972年11月18日に亡くなりました。
Neil YoungがHarvestに因んだツアー用のバンドから彼を解雇せざるを得なかった晩のことだそうです。(Wikipedia:Danny Whittenより

その後、私はNeil Youngのアルバムを買い続けたかって?
いえ、お金が無かったのと、聴く音楽の中心がJazzに移ってしまい全く買いませんでした。
酷いやつです。ボチボチ、買いなおそうかな等と思ってる次第ですよ(笑)

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~ by mars_mnt : 2012/06/08.

コメント / トラックバック6件 to “アメリカの匂い”

  1. アメリカの匂い。まさに!そうだったな~、あれがアメリカの香りでしたね。

    • Chiemiさん、どうもです。

      そう、あの香りはもう中々感じる機会が無くなってしまいましたね。
      最近は、またLPで発売されるアルバムも増えて来ているんですが、もうあの匂いはしないんですよ。
      我々、洋楽レコード世代だけが嗅ぎ得た香りなのかも知れないですね。

  2. US盤バングラデシュいいなあ。笑

    USアナログ盤の匂いは独特で欧州盤はああいう匂いはないですね。
    塩ビではなく印刷からくるものなんでしょうか。
    CDもUSの紙ジャケはちょっと似たような匂いがします。アナログほど強烈ではないですが。

    HarvestのUS盤って私も買いましたが紙質がざらっとした独特の雰囲気がないですか?
    アナログは処分しましたが、これは愛着があったのでまだ持ってます。

    • Satoさん、どうも、先日はお疲れ様でした。

      バングラデシュ、実家に置きっ放しなんで完全に宝の持ち腐れです(笑)

      当時のUSアナログ盤は、中のスリーブが他のレコードの宣伝印刷されていたので、その匂いなのかもしれませんね。
      紙ジャケCDでも匂いますか、それは気付きませんでした。

      確かにHarvestのUS盤は紙質がザラッとしていましたね。
      これに限らず、アナログは実家に戻った時に楽しんでいます♪

  3. 国内盤P-8000盤台も、ザラっとした触感ですぅ♪

    • すろはんさん、どうもです♪

      話がマニアック過ぎますぜ(笑)
      当時はお金が無かったので、何とかシリーズで元々値段が安くないと国内盤は買えませんでした。
      ライナーノーツも歌詞カードも魅力でしたが、1000円の差は中高生にはでかかったっす(笑)

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